知的財産 -- 業界初「入試に強い八王子・山下行政書士事務所」の至誠通天日誌
FC2ブログ
2018 / 10
≪ 2018 / 09 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - - - 2018 / 11 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

著作権相談員講習があったのと時期を合わせたわけではないでしょうが、東京会の会報「ぎょうせい東京」に「著作権業務の確立と可能性」という寄稿が紹介されていました。筆者は会員でもありNPO法人日本知的財産センター所長理事という肩書を持たれている方ですが、私が先日の講習で感じたことと全く逆のことを書いていらっしゃるので、先輩に対して僭越ではありますが、少し疑問を呈したいと思っております。(以下、引用部分は「」ならびに明示しております)

要は、行政書士が宝の山である著作権業務に向かわないのは怠慢であるというのが趣旨なのですが…。

まず、最初の疑問として、筆者は「著作権はそれを他人に譲渡・流通させて他人が製品化することを前提に創作する」もので、特許権は「他人に譲渡するための権利ではなく、権利を排他的に自らが製品を製作するための防衛的権利」と位置付けておりますが、この区別の認識から疑問に思うのです。

「全ての国民が著作権者である」と筆者がいみじくも述べているように、著作物という定義に合致するものを作れば、無方式で著作権という権利が生まれるのが著作権の正体です。では、いったいその中のどのくらいの者が流通を意識しているのでしょうか。一方で特許権は独占使用するという用途は勿論今でも存在しますが、個人や中小の企業の特許権を大企業が使用料を払って製品化していることのほうが多いのではないでしょうか。また、権利そのものを登録する中で、明細書等を通して新規性を明確にしなければなりませんから、会計上の財産的評価もしやすいですし、譲渡・流通といった点では著作権よりはるかに先を進んでいるのではないでしょうか。

誤解なきようにいっておきますが、私は、著作権の権利としての位置づけが産業財産権と変わらない重要な位置づけにあることを否定する気はありません。
しかし、著作権保護対象のメインとなる音楽・楽曲についての著作権保護はJASRACをはじめとした民間団体が取り仕切り、書物についても文芸家協会・脚本家連盟が著作権管理業務をしています。美術品・写真に関しても同様な方式が取られています。

これ以外に行政書士が著作権の管理等について、どういう業務を想定されているのでしょうか?言いかたは悪いですが、カネが動かないところにはプロが行う業務はないと私は思うのです。士業の仕事として、上記団体の業務を奪い取って各個人・会社単位で管理するなんてことになれば、却って無用の混乱を招くことしか想像できないのですが、それは間違いでしょうか?むしろ、現在の多くの商業著作権者は現制度に満足しているのではないでしょうか。筆者は業務として「著作権の管理・運用・流通等を指導」すると言われますが、私にはあまりにも抽象的すぎて意味がわかりません。商業的価値があるものは既に業界団体の管理下にあり、日々無限に国民の間で生まれる著作権はほとんど流通しない。どこにビジネスがあるのでしょうか。

筆者は行政書士の著作権業務として次8つを挙げています。(以下項目のみ引用)

①著作権登録申請
②著作権顧問
③著作権相談
④著作権契約代理
⑤著作権契約書作成
⑥著作権取引媒介
⑦著作権管理
⑧著作権評価

①は問題ないのですが、対抗要件の問題として一般流通の多い不動産登記と並べて論じられるのは少々乱暴な気もします。もっとわからないのが、「登録と同時に代金を支払う慣行が普及すれば、二重譲渡等の詐欺は未然に防げる」というところです。たぶんK室氏の事件が念頭にあったのでしょうが、これも本当の二重譲渡だという明確な定義がなされたということは聞いていませんし、年間何十曲も作品を作る作曲家が(CM作曲家などは100を超えると聞きます)ひとつひとつ文化庁に登録なんかしますか?この事件を行政書士の努力の足りなさに原因を求めるのも牽強付会という感がします。

③~⑥は著作権に関わらずよくある業務ですので、いいとは思いますが、②の「継続的に著作権を創作あるいは取り扱う個人・企業への顧問」と言われてもねぇ…。失礼な言い方を許していただければ、現状では妄想のひと言で片付けられてしまいそうです。

⑦の著作権管理も「現在と過去の著作権の使用状況等の管理代行」ということですが、筆者が顧客と想定する中小企業や個人でも公に出されるものについては業界団体が全部ソツなくやっているのですけど…。

この中で言えば⑧が会社の財務的価値を高めるという意味で役に立つかなと思います。プログラム登録の際に講師が言っていましたが、多くは銀行の融資のために会社資産を明示しておきたいという動機での登録ということですから、経営コンサルタントとしての、また事業承継に際しての企業価値のアップという意味では一定線の効果はあると思います。

先にも述べましたが、著作権登録が年に1,000軒、プログラム著作権は50件にも満たない現状で、前者は毎年同じ数で、後者は年々減少しているというのに、具体的見通しなしで業務を進めるというのは、まるで、水たまりに釣り糸を垂れて魚を釣ろうとするにも等しいのではないでしょうか。この数字ひとつとっても、制度的変更が無い限り、仕事があるという気がしません。

内閣府知的財産戦略本部が知財立国実現計画の策定にあたって、弁護士と弁理士の意見しか聞かなかったのは、著作権は我が国の経済成長の原動力にはならないという考えが推測されます。これからは新興国の経済成長に世界の経済が頼らざるを得ない中で、著作権保護が大きく遅れている国に優れた知的資産をもっていっても、真似されて独占的利益を得られないし、その国の政府も厳しく取り締まらず内政問題という政治問題まで発展する可能性があるならば、とりあえず民間に任せてしまおうというのではないでしょうか。

私自身、新しいことにネガティブになるつもりはないし、新たな業務を開拓していくことの重要性はわかっているつもりですが、現状から将来の発展の見込みが薄いのに看板を掲げるのは躊躇します。

私自身が思う知財業務とはは特許権の専用実施権登録や知的資産経営の中から知的財産を探し出し、それを企業の資産価値を上げるツールや事業承継に関して承継者が魅力を感じるようにするといったもの、さらにはその利用権セールスなどに力を貸すことができることなのです。

もし、著作権に関する業務で、私の考えが及ばないものがございましたらぜひご教示願いたいと思います。


ポチっと応援宜しくお願いします☟
にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村


スポンサーサイト

クラシックダンサー

Author:クラシックダンサー
「織物の街」八王子で山下行政書士事務所を経営しております。事務所のホームページは下のリンクからお入りください。遺言・相続・離婚といった市民法務を中心に、国際関連業務・ペット問題・知的財産・各種許認可といった業務をおこなっております。

前職が塾・予備校の教師という毛色の変わった経歴を持っており、この縁でどこのヒモもついていない受験コンサルタントもしております。

このブログは公式ブログとして業務並びにビジネスに関することを中心に書いていきます。少しでもお役にたてれば幸いです。なお、直接当方に連絡を取りたい場合には右の欄のメールフォームをご使用ください。

行政書士のバッチはコスモスの花をあしらい、その花は「誠実・真心」をあらわすと言われています。そうした理想を忘れずに、永く住んでいる八王子の皆様の役に立てるようになりたいと考えております。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。